台湾の駅弁
−京王百貨店の挑発に乗ってみた−


Last Update >> 2004.1.16

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 「駅弁の甲子園」とも異名をとる、京王百貨店の駅弁大会。例年、趣向をこらした企画でファンを楽しませてくれているわけだけれども、ここ数年は「台湾の駅弁」なるものが売られている。
 さすがに台湾からでは弁当も人材も直送は困難だったのか、台湾鉄路管理局の監修のもと、日本の「欣葉」という台湾料理店が作っている。台北にも5店舗を持っているレストランの仕事で、台湾鉄路管理局と京王百貨店との二重の監修が入っているのだから、確かなものだろうとまずは信じることにしたい。

 僕個人は台湾に行ったことすらないけれど、webをいくつか眺めていると、氷山の一角程度の情報は一応つかむことができる。そしてこうして、日本で再現された台湾の味を食べてみることができる。
 幸せな時代なんだなぁ……と思う。

 僕は人混みが大の苦手なので、京王は行っても、予約して時間待ちや行列をする弁当は避けて通っている。まして一人で行ったら、パパッとめぼしいものを買うと、そそくさと逃げ出すようにして退却してしまう。
 ところがこの時は同行者がいた上に、台湾のブースの前を通りかかったら、40分後の整理券が手に入ってしまった。
 逡巡する僕を、幾度も煽る同行者(笑)。
 結局40分後、この手提げ袋をぶら下げている僕がいた。列車をモチーフにした、かわいらしい袋だ。
 大の男にはちょっとかわいらしすぎて、持ち歩くにはちょっと気が引けるので、レゴブロックでも入れておくことにしようかなと思う。
 袋の中に入っていた弁当箱は、ちょっと変わった形をしていた。鍋か飯盒のようにも見えるけれども、そういう使い方をして良いものかどうか、さっぱり見当がつかない。
 中には同じく鉄(ステンレスかな)のトレイがもう一段入っており、日本でもよくある「二重折」だ。
 もっとも、台湾の駅弁が日常的にこれで売られているというわけではないらしく、何故この容器なのかの説明が欲しかったところ。「懐舊便當(懐旧弁当)」というくらいだから、昔はこれだったという意味なのかもしれないけれど。
 写真ではつぶれているけれど、蓋には列車の絵が彫られており、「2004懐舊便當」の文字が入る。お箸は金属製のものが付いてきた。
 中身は干しエビと高菜の炊き込みご飯、パーコー(豚肉の唐揚げ)、煮卵、漬け物というシンプルな内容。
 見るからにアジアンテイスト大爆発、とはいうものの日本人にもとっつきやすい(きっと、そんな風にアレンジしてあるのだろう)。
 そういえば実演ブースでは、揚げた豚肉をタレに漬ける工程を見ることができた。

 1500円という価格は、中身だけを見ると、率直に言って高い。けど、容器代と異文化に触れるための代金との二つが込みなら、安いには安い。
 来年からは、記念弁当ではない普通の弁当も、紙箱に詰めて売ってくれないものかなぁと思う。それこそ、台湾の乗客が食べているのと、同じ形のものを。

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